- 毎日仕事をこなすだけで精一杯、たのしいと思えない
- 人の命を預かる仕事に疲れてきた、つらいことが多い
- 夜勤もあるしケアも重労働、体力的にきつい
- 患者さんから理不尽なことを言われる、認知症対応も大変
看護師の資格を取ったからにはずっと看護師として働きたいけど、これらのことで続けていけるのか不安、と感じている人も多いのではないでしょうか?
私もそんな重圧から逃れたくてもっと楽な仕事がしたい、看護師以外の仕事がしたいと思う時期もありましたが、給与面などをみても結局看護師の仕事を選択する、その繰り返しでした。
でも28年目になって思うことは、色々なところで看護師としての経験を積んできたおかげで、仕事に対しての自信がつき、余裕がでてきたことです。
そのため現在は、のんびりとした働き方でたのしく看護師として働くことができるようになりました。
ここでは、28年目看護師の私が今までの経験をふまえて感じたこと、わかったことを話していきます。
看護師の仕事はたくさん 自分に合った働き方を

一般に看護師の仕事内容とは、病院で見る看護師の仕事と思われがちですが、働く場所によって様々な仕事内容があります。
- バイタルサイン測定、状態観察
- 身体ケア、保清介助
- 投薬管理
- 医師の指示に基づく診療補助
- 看護師がおこなう医療処置の実施
- 看護記録
- 看護計画の立案と実施
- 家族へのケアや説明
- 緊急対応
- 診療器具や医療機器の準備、消毒
- 予防接種や健康診断の実施
- 生活上の指導教育やアドバイス
- 食事や排泄、日常生活の支援
- 体位変換や移動のサポート
- 介護施設では状態悪化時の対応、病院への同行と通院支援
- 生活リハビリテーション支援
- 介護職員へのアドバイス、教育
- メンタル面での援助
- 看護学生、新人指導
これらに加えて大学病院などでは看護研究があったり、勤務時間以外でも委員会や会議の参加など…数えきれないほどの仕事が看護師にはあります。
そのなかで自分がどのような仕事内容に重きをおいて働くのか、これは今の生活には負担になるから除外したいとか考えることが必要になってきます。

当然新卒ではそんな選択肢があるとは考えられず、とりあえず働きはじめる人が多いとは思いますが
数年勤務して今の職場はつらいな、他のところも経験してみたいなと感じたら自然に考える内容だと思います。そのときの自分に合った仕事内容を選び、それができる場所を選べば良いのです。
新人看護師時代は試練の時期!つらいけど貴重な経験

私の最初の就職先は大学病院で5年間勤務していました。
勉強することは山ほどあるし、技術の習得もしなきゃいけない、
とにかく仕事を覚えることに必死でした。
当然患者さんは技術も経験も未熟な新人看護師に対して不安を感じていて、きついことを言われることもあります。そんなひとことに傷ついて泣いたこともありました。
それに加え、看護研究は義務、病棟会議や勉強会、委員会もあり毎日仕事のことばかりでつらい時期です。
でも、同期も沢山いて仕事終わりに情報共有したり愚痴を言いあったり楽しいこともたくさんありました。それが心の支えになり大変でも辞めるという選択肢はなかったです。
職場の人間関係や環境も大きいですが、看護師になりたくて働き始めたばかりの時期ですので、つらいことも含め全てにおいて当たりまえだと思っていました。
個人的な意見ですが、最初の職場は大きい病院で医療の現場を経験しておくと良いと思っています。知識はもちろんスキルも視野も広がりその後の看護師としての経験に活かすことができるからです。

ここは踏ん張りどころ 忙しいところを体力のある若いうちに経験できて良かったと思います
最初に療養病棟や介護施設などで働きそのペースに慣れてしまうと、その後の急性期での仕事はかなり大変です。命に直結する仕事ばかりでミスは許されない現場、つらいことが多いとは思いますが、長く看護師を続けるには貴重な経験だと思っています。
希望の専門分野に転職 新鮮でたのしい
大学病院では神経内科病棟で高齢者が多かったため次は子供も看てみたい思い、産婦人科の分野に興味を持ち、クリニックへ転職しました。
同じ看護師でも対象者が異なるとまったく働き方が違います。
まず第一に、高齢者では身体ケアなどでかなりの重労働もありましたが、産婦人科では患者さんが妊婦さんと赤ちゃんなので基本的に身体の負担が減りました。

高齢者が対象だと移乗、排泄、入浴介助などで腰痛持ちになる人も多いと思いますが、その心配はほぼなかったです
専門性が高く、今までとはまったく新しいことを勉強する必要があり忙しかったのですが、自ら望んだ分野のため新鮮な気持ちでたのしく向き合うことができました。また、自分自身も近い将来出産する、という時期であったため純粋に勉強の意味もあったのです。
大学病院からクリニックへの転職はいろいろとギャップがあり慣れるまで大変なこともありましたが、少人数ながらも人間関係には恵まれ、たのしく働くことができました。
ひとつの専門性を追求して同じところでずっと働くという選択肢もあるとは思います。しかし気分を変えるという意味でも、キャリアチェンジという意味でも異なる分野の職場に転職することはかなり有効と言えます。
転職したことでまた看護師の仕事が好きになりたのしくなる、ということも考えられるからです。
ライフステージの変化で選択できる看護師の職場と働き方
私の出産後の職場は回復期リハビリテーション病院で院内保育室があるところを選びました。そこでは日勤常勤という働き方をしています。
看護師は圧倒的に女性が多い職種です。
今でこそ男性も育休取得できるような世の中になりましたが、それでもまだまだ女性が育休を取り家で育児するほうが多いですし、そもそも出産という一大事があります。
子供が産まれたらある程度大きくなるまで家にいる時間は長くせざるを得ないのが現実です。
- 子育てが大変なので仕事はできれば負担が少ないほうが良い
- 送り迎えなどで時間に制約がありフルタイムは厳しい
- 子供の体調不良で急な休みが多くなってしまう
このようなことはどの家庭にも言えることではないでしょうか?
長い看護師人生において、子育て期間というのは一瞬で過ぎ去っていきます。なのでその間は仕事内容や働き方を考えて、じっくり子供と向き合いたいもの。私はまた転職することで自分に合った働き方を選ぶことができました。
院内で子供を保育してくれるので、体調不良時にはすぐに迎えに行けるし職員もママさんが多いので急な休み、早退があってもお互いさま、という雰囲気。仕事内容、というよりは環境的に和気あいあいとたのしく働けた職場です。
回復期リハビリという特性上、急性期に比べるとのんびりと働くことができたというのも要因のひとつでした。

大学病院時代はリハビリ病棟なんてやりがいがなさそうで行きたくない、と思っていましたが、変わるものです
出産、育児に限らず、自身の体調だとか、家族の介護とか、様々なライフステージの変化があります。そのように家庭を優先しなくてはならない時期だと仕事のたのしさ、やりがいという基準ではなく生活のために働く、という選択をすることもあると思います。
そのときどきで働く場所や労働条件を自分で選ぶことができ、またそのような職場が、ある程度の妥協は必要であるにしてもそろっている、ということは看護師の利点ではないかと思うのです。
キャリアの積み重ねが自信に!看護師経験が長いと仕事がたのしい

子供が大きくなり家にいる必要がなくなったら、今度は給料アップのために一般病院の急性期病棟で夜勤をするようになりました。

そのころには看護師としていろいろ経験を積んでいるため、自分の仕事に多少自信もついてきました。
その病院では夜間の急変、緊急入院も多く、年齢から夜勤リーダー的な存在で若い同僚に指導したり、管理職がいない状況でイレギュラーな事案にも判断をしなくてはならない場面が多かったです。そんなときこれまでの転職で身につけた知識や経験から対処できたこともありますし、そこではじめて遭遇したことに対しても学んでいき、さらに自信と余裕がついてきたと思っています。
そして自信と余裕が生まれると仕事のたのしさも見えてくるようになります。
自分の仕事に自信がなく、余裕もないときは、
- 時間がなく患者さんの話を聞くことができない
- 観察不足で異常に気付くことができなかった
- 周りが見えず職員同士のコミュニケーションも足りない
こういうことになりがちです。
経験を積むことで以前の自分ではできなかった本当の意味での看護、というものが初めてできるようになったという感覚がありました。そこで改めて看護師の仕事がたのしく充実したものに感じられるようになったのです。
看護師28年目、自分を大切にして働くという選択

子育てが終わりあとは家のローンと老後資金。
体調に不安もあるため夜勤生活を辞めました。
もちろん金銭面でいえば夜勤手当は大きい、今のうちに稼いでおけば良いのもわかっているけど、やはり身体への影響はあるようです。

身体への負荷とストレスをかけることを辞め、これからは自分のために無理せず働くことにしました
それとともにずっと医療の現場で働いてきて、やりがいはあるけど人の命に直球で関わることにも疲れがでてきました。
次はのんびり働きたい、介護の現場にいってみよう、と施設を選びまた転職です。
現在は正社員からも離れ、派遣社員としてサービス付き高齢者住宅で気ままに働いています。
介護施設でも、病院ほどではないですが正社員だと委員会があったり施設内の会議があったりしますが派遣のためそれもありません。
仕事する内容は正社員と変わらないのでいろいろと問題点やモヤモヤがあったりしますが、期間限定と割り切ってあまり深入りせず、という精神でやってます。
と、いうことでストレスフリーになり今が一番楽しいです。
派遣社員は即戦力を求められるため、病院経験が長く、ある程度の知識と技術を身につけられたことは今の強み、余裕につながっていると思います。
まとめ
看護師の仕事がきつく、つらいから看護師以外の仕事をしたいと思ったときもありました。
それでもライフステージの変化にともない看護師として様々な場所で経験してきたからこそ、ある程度こなせる自信と度胸が付いたような気がします。
今までの看護師経験から仕事をするうえで大事だと感じたことは以下の3つです。
- 周りをみること
- 優先順位を考えて行動すること
- 変化に気づけること
職場の人間関係もかなり大きいですし、つらいことも多くある職業ですが、その分やりがいはあります。
今つらくて大変だと感じている方は1つの職場に縛られずいろいろなところを経験して、そのときの自分にあった働き方を選ぶことができればきっとより良い職場に出会えるはずです。
今の職場には70代後半のおばあちゃん看護師もいて、みているとたのしそうに働いています。人にもよりますが一生現役で働ける仕事なんだと思いました。
経験を積み重ねることで自分のなかで確かな自信と余裕が生まれ、看護師という仕事の本当の魅力を感じられるようになる、そう思っています。